自城自作011 本体の刻み

土台の組み上げが 完了し 本体の刻み に移行します。
柱 や 小屋組み の加工です。

状況紹介の前に 図面を使って 設計コンセプト を説明します。
い通りの 軸組図 です。(筋交い、間柱 除く)
主屋勾配 1.5/10 の 片流れ屋根、スッキリ シャープな 外観をイメージ
一般的な 切妻屋根(勾配 3.0/10)と 屋根の高さ が同じです。
勾配が 半分になるので 水仕舞い に注意します。
流れ方向を 一枚モノの金属屋根とし 雨漏りの懸念 を軽減します。
下屋は サンルーフ テラス、車も入る 巾1.5間(2.7m)を確保
主屋軒下の作業性 と トータルデザイン から 勾配は 0.5/10 としました。
柱は 3m材 をできるだけ利用し、天井を高くしました。
束の間隔は 3尺、屋根工事の作業性を考慮します。(柱も 基本は 3尺)
束の高くなる棟側には 繋ぎ梁を 渡して バランス を意識
少しでも剛性が高まるよう、仕口は 短ホゾ や 蟻 で接続します。

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小屋梁伏図です。
屋根荷重を受ける 小屋梁(水色)は 剛性を考慮し 6m材 1本 で構成
北側背面は 庇(ひさし)を設置できるよう 1尺強 張出します。
片流れ屋根は 屋根の構造から 水平方向の力 に弱い。
対策として 内部柱 2本は 通し柱(赤色)とし 母屋 と接続します。
梁の上にのせる 桁(黄色)は 2本継ぎ とし、長い方は 6m材 です。
それぞれを 2本の柱で支え 安定を図ります。
シンプルで剛性の高い 折置組の構造 は 保持しました。
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以上の図面は 教科書の著者 小笠原さん のレビューを経て 見直したモノです。
数多くの 貴重なコメント をいただきました。敬意 を表します。
(小笠原さんのホームページに メールアドレス が公開されています)

骨組みは すべて 3.5寸角 杉材です。
建築中の住宅を観察すると 梁の太さが 目に留まります。
自分の設計する 3.5寸(105mm)より 明らかに太い。
少し 不安になります。計算してみることにしました。
屋根の荷重 と 部材の条件 より 曲げ応力、せん断応力、たわみ を計算し
必要な 梁せい(梁の上端から下端までの距離)を検討します。
曲げ応力とせん断応力は 問題なさそうです。(よくわかる 梁せい算定 参考)
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たわみが 少し気になります。
スパン(柱の間隔)を 9尺とると 20mmぐらい たわむ 結果です。
20mmは 2cm、目で見て 明らかです。少し怖い かもしれません。
そのため スパンは 6尺を上限としました。3mmぐらいなら いいかなと
お客様に納める住宅は、ミリ単位の たわみ も避けているのかもしれません。
梁の太さに 納得です。
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それでは、建築状況を 紹介していきます。
下の写真は 柱 と 6m材 の刻みが 完了したところです。
3.5寸角材 6m 1本の重量は 20~30kg といったところでしょうか。
黒い木目のモノが 特に重たく、結構しんどい思いをしました。
一人で扱うには ギリギリの重量といった 印象です。
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材木の保管方法も 重要 です。
それぞれが 密着しないように 隙間をあける。
左右は もちろん 上下に重ねるとき も 細い板を挟みます(厚み5分)
雨ざらしになっても 日に当たると 材木の表面は すぐに 乾燥します。
風通しをよくして 日に当てる ことが 大切 です。
はじめのころは 雨に濡れるのを避けるため 防水シートをかけていました。
すると 土の地面から 水分が蒸散して シートの内側で結露します。
結露した水分は 集まって水滴となり 材木は びしゃびしゃ です。
防水シートが 目的と正反対の機能を発揮する 面白い事例 です。
密着も駄目です。キノコが生えてきたのには 参りました。
なんとかしなければと いろいろ調べて 到達した 保管方法 です。
雨による カビの発生は 完全には 避けられないとのこと
濡れても 乾燥する環境を作り 成長は 表面だけに抑える。
共生とか 調和とか そんな やり方
さまざまな 場面に 応用できそうです。


これは 桁や母屋の 垂木をのせる溝 です。勾配分だけ 傾いています。
丸ノコを使って 刻めるよう、専用の冶具を 作成しました。
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これは 束(つか)、基本は 梁の上に立てます。
一通りの 一番長い束(手前の右4本)は 上下 ホゾの方向が 同じです。
一通りは 梁(縦方向)の上に桁(横方向)をのせます。
その上に 束を立てて 棟木(横方向)をのせるため です。
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モノにより 表面の色合いが 異なります。
灰色は 始めに購入した ホームセンターの材木(2015/2)
肌色は 土台工事が終わってから購入した 製材所の材木(2015/8)
購入した時は どちらも 同じような肌色 でした。
直射日光に晒されると 灰色に変化していきます。半年の変化です。


必要部材の刻みが 終わり、荒材の表面仕上げ に移ります。
6m材は 荒材で購入し 表面が ざらついています。荒い鋸刃の加工面です。
電気カンナで 厚みを確認しながら 表面を削っていきます。
写真は マキタ 1911B 替刃式、切削巾が 110mm あるので
3.5寸角材(105mm)を 一発で 面出しできます。
ところが 荒材は 削り代が含まれおり 少し厚い
移動定規を使っても 端に削れないところが 残ります。
どうしたものか・・・。先に 角を面取りして なんとかしのぎました。
研削深さ 1.5mmで荒削りした後、0.2~0.5mmに縮めて 表面を整えます。
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仕上がりをみると 節の周りなど 結構 ささくれが 目立ちます。
材木の乾燥状態に 原因ありそうです。
未乾燥材(GR)の購入、雨の多い天候、朝方の結露など いろいろ
対策として サンダーで 処理します。

写真は マキタ の ベルトサンダー 9901(ヤフオク)
ベルトサイズ 76×533mmで パワーも 十分です。
ただ 6m材なので 結構 時間 かかります。(ペーパー番手 #240 仕上用)
それと 排気口が 身体に向いており 粉だらけになります。
トイレットペーパーの芯で 排気ダクト 作りました。
右下は ロング(二代目)、角度も考慮し、手元の粉付きを カイゼン
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こうして 荒材 6m(小屋梁、桁、母屋、棟木)の 表面仕上げ が終わりました。
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4m や 3m 材は プレナー処理済み です。
大型の四面鉋盤で 寸法調整されたモノで、表面は 整っています。
といっても 汚れ落としのため 薄くカンナを掛けたい ところ
しかしながら 取扱いが 未熟 のため、柱が どんどん細くなるのに 抵抗あります。
やむなく 組み上げ直前に サンダー処理 としました。


ふぅ~っと、いった感じで なんとか 棟上げ準備 整いました。
さあ、次回は いよいよ 棟上げ です。
小さな道具の力を借りて 人は ひとり、そのやり方を バシッと公開します。
お楽しみに☆


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by soken-t | 2016-03-19 08:12 | 自城自作 | Comments(0)

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