自然農園006 九年目の米作り

久しぶりの いいもり自然農園 です。
12月初旬 静かな季節に なりました。
米の収穫も 終わり、秋の仕込みも 一段落
今年の米作り、九年目にして ようやく それなりの結果が 得られました。
健康と味覚に こだわり 無肥料 無農薬
荒掻き、代掻き、脱穀、籾摺り は 機械を使って 効率化
苗仕込、田植え、稲刈り は 人力で コストを 削減します。
そういう わたしのやり方を ちょっと紹介してみます。
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3月初旬の 田んぼ です。
田んぼの広さは 160m2、小学校のプール(25m×12m)の半分ぐらい
雑草の丈が 低いうちに 耕運機で 一度 荒掻き しておきます。
荒掻きとは 水を入れずに 耕すこと
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4月です。周囲は 次々に 芽吹き 始めます。
田んぼの草も 徐々に復活してきます。
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5月です。周囲は 新緑につつまれています。
田んぼの草も 日に日に 勢いが増していきます。
草刈機で 畦の草刈り、耕運機で 2回目の荒掻き を実施
草の勢いを 止めておきます。
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苗の仕込み です。
今年は ケースに モミを蒔きました。(昨年収穫した手前モミ)
田んぼに直で 苗床を作ると 荒掻き 代掻きで 動線に触れます。
作業性を カイゼン、今年は 別の場所で 作ります。
水に沈んだモミを選別し 数cm間隔で パラパラ 蒔いていきます。
土は 裏山の腐葉土に 草木灰を 混ぜました。
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苗床は 畑のスペースに 直置きします。
土手際から 水が染み出てくる 常に湿った場所を選びました。
鳥除けのため 寒冷紗(細かいメッシュ)を掛けておきます。
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6月です。レーキ付き耕運機で 代掻き したところです。
代掻きとは 水を入れて 耕すこと
土の粒子が細かくなり 水が溜まるようになります。
ある程度の水がないと 土が細かくなりません。
梅雨に入り 小川の水量も ググっと増えてきます。
直接降る雨も 手伝って 水が溜まりました。

まだ 手前の土レベルが高いです。
今年は 水深を管理するため、土のレベルを 均一にしました。
ここまでドロドロになると 耕運機は 沈んでしまい使えません。
半日掛けて 人力泥移動、かなりの重労働に ヘトヘト です。

自然農法は 耕さないのが 基本といいます。
うちの田んぼは 代掻きしないと 水が溜まりません。
モグラ や カニ が そこらじゅうに 穴を掘っているから です。
代掻きは 耕運機を使っても 土に足をとられて 大変です。
やらないに 越したことは ありません。
やらない方法を これからも 探していきます。
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田植えの準備が整いました。
苗です。1ヶ月と1週間で 20cmぐらいに成長しました。
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210cm支柱に 30cmおきに ビニールテープで マーキング
今年は 株間 45×30cmで トライします。
昨年は 60×30cmで ちょっと スカスカ、少し カイゼン してみます。
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かみさんと二人で 半日、1200本 の 手植えが 完了しました。
今年は 全株 一本植え、写真だと どこにあるの という感じです。
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7月です。しっかり根付いてきました。
根張りを促すため 水深は 浅く1cmぐらいで 調整します。
稲より 草のほうが 成長が早いので 株間の草刈りが 必要です。
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使う道具は これ、長手の ねじり鎌
地元の鍛冶屋で 購入、安来鋼なので 切れ味抜群です。
土に食い込ませたり、水に触れると 抵抗となって 疲れます。
水面を スーッと水平に 草の頭を サクサクサク っと刈っていきます。
できるだけ 力を使わないよう 意識します。
勢い余って 稲に触れると 一発で 刈れてしまいます。
気持ちに余裕をもって 集中 です。
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手刈りは 刃がいい と 楽でいい
刃のメンテナンスは 可変式グラインダー(BOSCH GWE7-100E)
回転数を落とし 摩擦熱で 刃の金属組織を壊さないよう 研ぎ上げます。
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8月です。田植えから 2ヶ月の間に 4回の草刈りを実施
稲丈が 股下くらいなったら もう 草には負けません、草刈り完了です。
1本から 分けつして増えた茎数は 10~20本
今年は このタイミングで 水深を 5cmに調整しました。
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9月です。8月末に 出穂を確認、開花 交配が 始まっています。
花が咲いたら 結実を妨げないことが 重要です。
田んぼに入らない 水を絶やさない ことを意識します。
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10月です。稲穂が垂れて 色付いてきました。
9月末に入水を停止、稲刈りの準備です。
一週間ぐらいして 今年は 大麦の種 を蒔きました。
土作りの一環です。春の自家製麦茶も 楽しみ
何度か 台風の接近で 倒れた稲が いくつか認められます。
根張りが イマイチだった 印象です。
土作り、苗作り、水深管理、まだまだ カイゼンの余地あり です。
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稲刈り です。10月中旬
目安は 田植えより 4ヶ月、全体の2/3が 色付いたとき
自然農の先輩から 教わりました。
ノコ鎌で手刈り かみさんと二人で 半日で完了
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稲株は 5~7株ぐらいを 一束にします。
後々のハンドリングを スムーズにするため です。
麻ひも(バインダー用が 太くて安価)を使って
グルグル 2回まわして 片端を強く引っ張り 締め込みます。
そのまま 緩まないよう 片端を 内側に入れる これが 結構難しい
針金で 道具を作ったら ずいぶん楽に なりました。
すぐに外せて 締りがよい。気持ち良い作業のポイントです。
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稲穂です。分けつは 20~40本、平均25本くらい 計量から換算すると
1粒のモミから成長した1本の苗が 1000粒のモミを生んだことになります。
昨年のモミを使って 周りにある 気、水、土、日に 少し手を加える
それだけ です。すばらしい 地球の循環システム
心から 大切にしたいと 思います。

稲は 状態が良いと 1粒が 5000粒になる といわれます。
それに近いのも ないことも ないのですが、ムラが 目立ちます。
元気が良い 健康な 稲を育てる。その方法を これからも 探していきます。
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束ねた稲は 2週間 天日に干して 乾燥させます。
脱穀を 容易にするため です。
馬と90mm角材2本で 干し台を 作りました。
持ってきて 置くだけ。楽です。
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次の日、スズメが一羽 モミをついばんでいます。
ネットを張って 少し浮かせて 近づけないよう 対策しました。
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大麦です。稲刈り時には 芽が出ていました。
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脱穀準備です。
今年は ヤフオクで ハーベスター(MK100)を 手に入れました。
熊本の菊池へ 引き取りに 行ってきました。
4馬力と小型のモデルですが、重量は 300kg、軽トラの荷台に ギリギリ です。
底部の4点を ロープで固定、有明フェリーを含む 80kmの行程
なんとか無事に 帰着できました。
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ハーベスターとは 足踏み脱穀機 と 唐箕(籾殻選別機)が 一体になった機械です。
脱穀する扱胴 や 風を起こす羽が エンジンの軸と Vベルトで つながっています。
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とても安価でしたが、30年前の製品です。
脱穀中に トラブったら 目も当てられません。
事前にメンテナンスを しっかり やります。
ありがたいことに マニュアルが 付属(自炊して 製造元のフジイに 提供)
Vベルトをチェックすると ほとんどに亀裂が入っています。
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取り急ぎ、全ての種類を 買い揃えます。
通販(モノトス と モノタロウ)で 全て揃いました。
本当に 便利な 時代です。
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エアクリーナをチェックすると エレメントに破れ が認められます。
エンジンの型式も 古く 純正品の入手は 困難です。
エレメントケースの大きさから 家に転がっていた スポンジを 試すとピッタリ
一年に一度の起動です。これにて しばらく様子を見ます。
その他、エンジンプラグのチェック、オイル交換を実施し、準備完了です。
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自走で 田んぼに 運搬し、数時間で 脱穀完了。
すばらしい性能です。
本体、部品交換、輸送費など トータル費用は 3万円
これから 10年は 仲良くします。
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今年のモミ です。
1200株から 36kgのモミが 収穫できました。
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モミの状態では 炊飯できません。籾殻を取り除く必要があります。
籾摺りは 近所の農家に お願いします。
ゴムロール式の大きな籾摺機で 商売しています。
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数分で 玄米になりました。
農業機械というのは 本当に凄いと 実感します。
会社員時代、イノシシの襲撃を免れた 少量の稲穂を 人力で脱穀、籾摺りしました。
あまりにも手間のかかる作業に 昔の農家の生活を とても想像できません。
図書館で 文献を調べると 機械のなかった時代、冬の農作業は 脱穀と籾摺り です。
農作業が 嫌われる理由のひとつ だったと思います。
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今年の新玄米です。
ほんのりと甘い味覚を感じます。
うちの主食は 玄米 です。
表皮に含まれる 栄養分と繊維質 をみると とても ヌカ にはできません。
ただ 経験上 美味しい玄米に 出会うのは 簡単では ありません。
年間の主食を 全て自作する。これからの目標です。
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ここで わたしの米作りを 総括 してみます。
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3月末の荒掻き から 11月初の籾摺り まで 229日の工程
その間の作業時間は 70h、得られた成果は 玄米29kg

収量は どんなもの でしょうか。
田んぼの面積は 160m2、収量は 181kg/反(1反 1000m2)
長崎県のH27 平年収量は 462kg/反 と 比べると 4割弱という結果
分けつ数の平均値を高めて 1株あたりのモミ数を 2000~3000にしたい
来年の 目標 とします。

作業時間を 時給に換算してみます。
いいもり自然農園の作物、販売単価は 100g 300円
食べられる土で作る 付加価値を考えて 直感 で 決めました。
興味を持ってくれる方に 野菜パックで 販売しています。
仮に 全て販売できたとすると 売上げは 8万7千円
経費を考えず 時給に換算すると 1200円 になります。(87000円/70h)
日本の最底賃金 目標時給1000円 にちょっと毛が生えた数字
収量を高めて 作業時間を減らせば 時給は上がります。
代掻き や 草刈り に カイゼンの余地が ありそうです。

いかがでしたでしょうか。
昨年 開業し 毎日畑に出られるように なりました。
初めて イノシシ被害なしで 稲の収穫を 終えました。
今年は 水深管理を施して 昨年の倍近く 収穫できました。
それでも まだまだ です。

これからも 日々精進 していきます。
どうぞ よろしく お願い致します。









Commented by 週末百姓 よたろう at 2018-04-24 17:08 x
うーん「すごい」としか言いようがない。
これってやったもんじゃなければこのすごさはわからないな。 
Commented by soken-t at 2018-04-24 22:35
> 週末百姓 よたろうさん
コメント ありがとうございます。
久しぶりのコメント うれしいですね、励みになります。
まだまだ 未熟な米作り 今年は 福岡自然農塾の見学会に参加して
独学を検証しながら レベルアップを進めています。
by soken-t | 2015-12-10 17:04 | 自然農園 | Comments(2)

自給自足 ものがたり


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